ご挨拶【第94回日本整形外科学会学術総会】

第94回日本整形外科学会学術総会会長 土屋弘行
第94回日本整形外科学会学術総会
会長 土屋弘行(金沢大学大学院整形外科学講座 教授)

 

 

令和3年5月20日(木)から23日(日)まで、東京国際フォーラムおよびJPタワーホール&カンファレンスにおいて、第94回日本整形外科学会学術総会を開催いたします。私ども金沢大学整形外科学教室が学術総会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。

 

感染症拡大に関しまして全国的に未だ先を見通せない状況が続いておりますため、本学術総会の開催形式につきましては、慎重に検討をしてまいりました。その結果、徹底した感染対策下に現地開催をしたうえで、学術総会終了後の一定期間(約1カ月程度を予定)にインターネットを利用したオンデマンド視聴ができる「ハイブリッド開催」とすることを決定いたしました(令和2年12月末時点)。現地開催の会期中、すべてのプログラムはLIVE配信をいたしませんので、来場可能な先生はどうぞ会場にお越しください。会期中の現地参加が難しい先生方は、後日Web会期中にオンデマンド形式でご参加いただくことが可能です。

 

「ハイブリッド開催」では事前に全演題、発表音声を録音したスライドデータをご登録していただきます。現地会場にお越しいただける先生は通常どおり壇上で発表していただきますが、現地会場にお越しいただけない先生の演題は、録音済みスライドを会場で映写いたします。また、後日開催のWeb会期中には、事前に提出された録音済みスライドをオンデマンド形式でご視聴いただけます。ポスター演題につきましては、eポスター(10枚程度のスライド)視聴といたします。ただし、優秀ポスター候補演題のみ、現地でのポスターの掲示を予定しております(現地での発表はございません)。新たな開催の形態である「ハイブリッド開催」のメリットを最大限に活かし、成功に向けて精励する所存です。なにとぞご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

1.学術総会のテーマとコンセプト

この伝統ある学術総会の今回のメインテーマは「伝統と創造」、サブテーマは「夢・挑戦・実現」といたしました。これまで先人が築き上げてこられた研究と臨床を振り返り、次世代を担う整形外科医による革新的医療の開発・実用化に繋がる学会となるよう、精一杯取り組ませていただきます。特に本学会のハイライトとして、メインテーマに沿った「伝統と創造シンポジウム」をさまざまな領域で設定し、伝統を築き上げてこられたオーソリティの先生方による講演と新進気鋭の先生方の発表、そしてそれに引き続く総合討論を通じて、先人の足跡を辿り、現状を見つめ、未来につながるシンポジウムとする予定です。

 

整形外科の基礎研究や診断および治療法がこれからも発展していくためには、夢を描き、それに向かって挑戦を続けていくことが重要です。ぜひ本学会を、参加者皆様の夢への挑戦と、それを実現するための一助となるものにしたいと考えています。

 

 

2.主要プログラム

開催期間中には、特別講演を2演題、海外演者および国内演者による招待講演を27セッション、教育研修講演を71セッション、シンポジウムを69セッション予定いたしました。例年より多くの演者を海外からお呼びすることで、多くの分野で最新の知見に触れていただけるよう配慮しました。一般演題につきましては、2358題の応募をいただき、その中から一般口演756題(うち英語演題58題)、ポスター854題(うち英語演題54題)の合計1610題を採用させていただきました。演題採択率は68.3%となりました。

 

第1日目は、会長講演のあと、特別講演1 で作家の百田尚樹氏に「日本人の誇り」という題名でご講演をいただきます。英語セッションとして、1つの会場をすべて英語の口演、あるいはシンポジウムで構成しました。

 

第2日目はSpecialty Dayとして、12の専門分野に分かれてより専門的な議論を深める場としました。一般口演はなく、シンポジウムと教育研修講演で構成し、より教育的な構成としてあります。各分野合わせて14の「伝統と創造」シンポジウムを設定し、前述しましたように、このシンポジウムは、オーソリティの先生方による講演と、それに続く新進気鋭の先生方の発表および総合討論を通じて、先人の足跡を辿り、現状を見つめ、未来につながるシンポジウムを目指しています。英語セッションも2会場で開催し、海外からの参加者にも積極的に参加していただきます。大変重要なkeyとなるSpecialty Dayの教育研修講演は、各領域で実績のある先生方のペアによる講演とし、異なった視点を含めて学びつつ知識を深めていただきたいと思います。締めくくりとして、特別講演2で衆議院議員稲田朋美先生に「伝統と創造」と題したご講演をしていただきます。

 

第3日目は、AAOS(アメリカ整形外科学会)、EFORT(ヨーロッパ整形外科外傷学会)、SICOT(国際整形外科災害学会)、MSTS(アメリカ骨軟部腫瘍学会)の会長による講演を予定しました。JOS/AAOS combined symposiumでは、“Recent advances in orthopediconcology”と題して、骨・軟部腫瘍領域における日米の最先端の治療と今後についての検討を行うこととしました。また、各種ガイドラインに関するシンポジウム、教育研修講演を一会場に集め、ガイドラインの真の意図とポイントについて解説をしていただく予定です。さらに、医療保険、AR/VR/MRに関するシンポジウムも企画し、土曜日で一般整形外科医の参加も増えるため、より実践的な知識を深めると当時に幅広い単位取得ができるように配慮いたしました。

 

第4日目は、日整会小児運動器疾患指導管理医師セミナー、日整会骨・軟部腫瘍特別研修会、日整会研修指導者講習会、日整会奨励賞受賞者講演があります。ここでも日曜日で一般整形外科医の参加が多く、より実践的な知識を深めると当時に幅広い単位取得ができるように考慮いたしました。整形外科医の基本と言える骨折の治療法、そして大規模災害に関するシンポジウム、小児の検診、小児の骨折などの小児に特化したシンポジウム、女性医師、若手医師に関するシンポジウムをそれぞれ企画しています。また、医療安全、交通事故における諸問題に関するシンポジウムも企画し、大学、一般病院、開業医を問わず幅広い整形外科医に興味を持ってもらえるよう配慮いたしました。さらに、現在日本整形外科学会では、がん患者のロコモティブシンドロームに関する啓発活動を行っています。今や日本人の2人に1人は、生涯の中でがんに罹患しています。運動器のスペシャリストである整形外科医が、各がんの特徴をよく知り、がんを恐れ遠ざけることなく、がん患者のQOLやADL向上のために積極的に診療や治療に関わっていくことは、大きな社会的要請となっています。午前中には、腫瘍を専門としない一般整形外科医の先生方にも、がん、がん骨転移の治療などについて、広く体系的に学んでいただけるよう特別集中講演を企画しました。

 

 

3.スポンサードセミナーと企業展示など

ランチョンセミナーを中心としたスポンサードセミナーも49セッションを予定しています。毎日多彩な講演を行いますので、ぜひとも専門医の単位習得にお役に立てていただきたいと思います。また、企業展示につきましても例年どおりに企画をしております。90社以上のメーカーに参加していただく予定で、時勢に合わせAI関連の展示も行う予定です。ぜひとも多くの皆様方の参加をお願いいたします。また、参加受付周辺には、金沢大学整形外科の歴史を展示いたします。こちらも合わせてご覧いただきたいと存じます。

 

毎年恒例の社交行事ですが、全員懇親会ならびにスポーツ大会は、感染症の現状と先行きに鑑みて、已む無く中止とさせていただきました。これらにつきましては、次年度以降の学術総会に期待していただきたいと思います。

 

1926年(大正15年)に日本整形外科学会の創立と同時に第1回の本学術総会(当時は学会と呼称)が開催されてから、今年で94回目の学術総会となります(1944年(昭和19年)と1945年(昭和20年)は開催なし)。金沢大学整形外科学講座としましても、これまで、第45回(1972年(昭和47年))と第74回(2003年(平成15年))を担当させていただき、誠に光栄のことと存じます。また、私ども金沢大学整形外科学教室が本学会を担当させていただくにあたっては、伝統が深く根差す金沢の文化を、世界の最先端文化を創造し続ける東京の地で、存分に感じていただけるよう、学会を通じてさまざまな心からのおもてなしを企画しています。充実した学術総会となりますよう、教室員と同門会が一丸となって取り組んでおります。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。尚、今後の感染症の流行状況によりましては、開催形式再変更の可能性があり得ることを、どうかご了承下さい。